皆さま、こんにちは。ワールドクリーナー坂井でございます。
本日はアルミフィンについてお話させていただきます。
先ずはアルミフィンの構造について、知っていただきたいと思います。
エアコンで言うアルミフィンとは熱交換機のこと。無数のフィン(ヒレ)状に形成したアルミの表面で放熱(暖房)したり、吸熱(冷房)したりします。
もちろん、ただのアルミフィンでは放熱、吸熱が出来ませんから、そのアルミフィンを熱くしたり、冷たくする必要があります。
それを担うのが冷媒管です。アルミフィンの内部を管が何本も貫いているのが分かります。この冷媒管は室外機と繋がっていて、内部を冷媒(ガス又は液体)が循環しています。
冷たい冷媒(ガス)が流れれば、アルミフィン全体が冷たくなり、吸熱(冷房)します。放熱(暖房)の時は逆に熱い冷媒(液体)が流れます。
なぜ冷媒管だけではダメなのか?表面積が小さくて能率が悪いからです。周りをアルミフィンで覆うことによって、熱交換できる面積を大きくしています。
なので、正確に申し上げれば、アルミフィンと冷媒管を合わせて熱交換器と言うことになります。
次に横から見てみましょう。現物よりも図解の方が分かり易いです。
アルミフィンの中には冷媒管が沢山通っています。青い〇が全てそれです。先ほどの正面画像では、表側の並びしか見えませんが、実際はこの様に中にも沢山の管があります。
アルミフィンはかなり分厚いのですね。
それで、この冷媒管が何本も通っている分厚いアルミフィンを内部までしっかり洗うために高圧洗浄機を使用します。
但し、やみくもに高圧水を当てれば良いというものではありません。
一方向だけから高圧洗浄しても、冷媒管の裏側、更に次の並びの管、というように、洗えない場所があります。ですので、前から、上から、斜め上から、斜め下から、というい様に様々な方向から高圧水を当てなければなりません。(図がゴチャゴチャしてしまうので、奥側のアルミフィンの ⇢ は省略しました)
実物を洗ってみると、正面側からバーッと洗ってキレイな水が流れてくるようになっても、方向を変えるとまだまだ汚い水が出てきます。
また、方向だけでなく効率よく内部の汚れを流し出すには、その順序も大切で、そこは各々の作業員の探求によるところになります。
当社では日頃の作業事例で今回は何十リッター流してキレイになりました!ということをお伝えしていますが、それは上記のような洗い方をした上で何十リッター流してキレイにすることが出来た! という意味合いです。
つまり、同じ40リッターを使って洗ったとしても、一方向だけから洗ったのと、今回の解説の様に洗ったのでは得られるキレイさは全然違うということです。
そして、順序も方向も考えずに洗い流した70リッターよりも、考えながら洗い流した40リッターのほうがキレイに出来ることは言うまでもありません。
もっとも、順序や方向を考えていない作業員が70リッターも流してくれることはあり得ません。40リッターも流さないのが普通だと思ってください。
このことは前々からどうお伝えすべきか?頭を悩ましつつ、作業事例の中では話が長くなり過ぎてしまうので触れることが出来ずにおりました。
ですので、今回改めてこの場を設けさせていただいた次第です。
さて、ここで一台だけ現物に登場してもらいます。どうです?ここまでのしつこい説明(笑)の意味が伝わりますでしょうか。
次にメーカーさんからアルミフィンの断面図を拝借します。(メーカーさんありがとうございます。イイですよね(^^ゞ
見てみると、基本的には同じでありながら、アルミフィンの形や厚み、管の太さ、本数、配置が違うのが分かります。
また、これらは各社さんの代表例であって、同じメーカーでもシリーズ毎によって違いますし、パワーランクによっても違いがあります。
繰り返しになりますが、これらの違いがありますので、様々な方向から高圧水を当てる必要がある訳です。
そうなりますと、次に必要になるのは、それを実践するための道具ですね。様々な方向から高圧水を噴射出来るノズルが必用になります。
フレキシブルタイプは当社で長年使用している物。ストレートで先っぽだけチョコッと曲がる物は、様々な方向からの噴射ができません。
こちらの図でイメージしてみましょう。奥側のアルミフィンを洗う時、どうなるでしょうか?。違いは一目瞭然ですね。噴射角が全く違います。ストレートタイプではどんなに立てても、天井があるので表面を撫でるような角度でしか高圧水を当てることが出来ません。
アルミフィンが洗浄不足のケース、よく出会います。特に奥側のアルミフィン。こちらは今までに別業者さんがクリーニングしてきたエアコン。3回複数の業者さんに頼んだそうですが、どの業者さんも奥側のアルミフィンを洗う技術は無かった様です。表面の汚れが寄り固まって残ったままになっていました。
当社での洗浄後。違いは一目瞭然ですね。
違いが分り易い奥側のアルミフィンに触れましたが、もちろん表側のアルミフィンでも違いは出ます。実際に洗う時は、水が飛び散らない様に機械全体を養生した中で行いますから腕の動きが制限されます。その分、洗浄ノズルの動きに、より大きな自由度が必用になるのです。
さて、ここまでは基礎編で、もっとアルミフィンのクリーニング率を上げる方法があります。
先ほどまでの分解状態でのクリーニングをドレンパン分解(当社でいうところのスタンダードプラン)と言いますが、更に分解してから洗浄します。
送風ファン分解(ハイグレードプラン)と、背抜き完全分解(プレミアムプラン)です。
送風ファン分解クリーニング(ハイグレードプラン)
ドレンパン分解の後、送風ファンも外します。送風ファンが無くなることでアルミフィンの内側からも洗浄出来るようになります。ただ、ボディは残しての洗浄なので、まだ洗えない面積があります。
詳細はこちらです➡送風ファン分解クリーニング
背抜き完全分解クリーニング(プレミアムプラン)
ボディも外して残るのはアルミフィンだけになります。他の部品との干渉が無くなり、送風ファン分解よりも更に洗浄面積が増えます。得られるキレイさは最上級です。
まとめ
この様にアルミフィンの洗浄は①良い道具、②洗い流しの量、③分解手法の相関関係で結果が決まります。
道具が良く、時間を掛けても、分解深度が浅ければ結果はソコソコまで。逆に分解は良くても、道具と時間がダメならばイマイチの結果となります。
もちろん道具と時間を生かすも殺すも作業者次第。ここまで述べてきたことを考えているかどうか?ということは先に述べた通りです。
ですので、分解していないエアコンに高圧洗浄機を向けているような写真を掲載している業者さん。ペロンと下側だけ水受けを吊るして洗っている画像の業者さんには間違っても頼まないでください。
キレイになる、ならないはもちろんですが、その前にエアコン壊れます。
固有名詞を出して注意喚起したくてうずうずしていますが、そういう訳にも行かず…。業者選びのヒントにしてください。
なお、洗浄ノズルは先ほどの物よりも更に噴射角の自由度が高く、奥側のアルミフィンが良く洗えそうな物がありました。
早速手配して試したところ、目論見通りの結果が出たので仕様変更しました。各メーカーの高級機ではアルミフィンが特別に分厚いので、特に違いが出ます✨➡エアコンクリーニングで使う高圧洗浄機について
臭いに一番影響しているのはアルミフィンです
最後に。臭いの改善はエアコンクリーニングの中でも最も難しいハイエンドな課題で、一番影響を受けるのはアルミフィンがきちんと洗えているかどうかです。
クリーニング後、一旦良くなったけど、数日後にまた匂うようになった・・・なんてことは良く起こります。
一番はアルミフィンがきちんと洗えていないことが考えられますが、それ以外にもお部屋の空気の状態によっては直ぐに匂い始める時があります。
新品のエアコンでも匂う時は匂います。また、ある程度使い方のルールを知らないと何かしらの臭いは出ます。
臭いについてはこちらに詳しくあります➡エアコンクリーニングを頼んだのに臭いが消えない理由
それではまた、よろしくお願いいたします。(^_^)/
当店では三つの手法でエアコンクリーニングをご提供しております。店長坂井が一台づつ、想いを込めてクリーニングさせていただきます。ご料金など詳細は各々のページをご覧くださいませ。
プレミアムプラン | ▶背抜き完全分解クリーニング |
ハイグレードプラン | ▶送風ファン分解クリーニング |
スタンダードプラン | ▶ドレンパン分解 お掃除機能付き |
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