エアコンクリーニングを検索していると出てくる用語を纏めておきます。真剣に探せば探すほど、専門用語にぶつかって時間が掛かるのは何の買い物でも同じかと思います。辞書代わりに、時間短縮になれば幸いです。
目次 (完成したと思えたら50音順に並べ替えます)
自動お掃除機能付きエアコン
フィルターを自動でクリーニングする機構が付いているエアコンのこと。業者間の会話では「ロボ付き」と言うことも多い。面倒なときは「ロボ」でもエアコン業者ならば通じる。「機能付き」と呼んでいる業者もいるらしい。
2003年に富士通ゼネラルが業界初商品化。 2005年ナショナル、シャープ 。2007年ダイキン、日立、東芝 。エアコン業界にも流行りがあり、どこかのメーカーが始めればずらずらと造り始める。なんだかんだで20年以上も続いているのは驚きでもある。
自動でクリーニングすると言っても、あくまでも補完的な機能である為、半年に一度程度ユーザー自身でもフィルターを外して洗う必要がある。放置するとエアコン内部全体に埃が充満してしまい、大変なことになる。正しい呼び名を付けるとすれば、お掃除サポート機能くらいのイメージ。
なお、内部クリーン、内部乾燥はもっと前からある機能で、ここでいうお掃除機能には当たらない 。
また、日立は2019年からファンロボという送風ファンを掃除する機能を有しているが、東芝は遡ること07年の初代機に搭載して1年で姿を消した歴史がある。

記念すべき業界初モデル。富士通ノクリアの2003年モデル。自動お掃除が始まると、フィルターがベロベロベロと出てくる構造。この個体は左右ズレが出る不具合発生中。
お掃除ロボ、お掃除メカ
自動お掃除機能を構成しているユニット一式のことを指す。フィルター、排気ファン、排気ホース、ダストボックス、ブラシノズル、駆動モータ等がフレームに取り付けられている。

これはパナソニックの最上級シリーズの物
ダストボックス式
自動お掃除機能の動作方式の種類のこと。エアコン内に設置してあるゴミ箱に、ブラシでこすり取った埃を貯めていく方式。貯まったらユーザーがゴミ捨てを行う。 満タンになっているのに放置すると、ゴミ箱から溢れてエアコン内に埃が蔓延してしまう。

ダストボックスに貯まった埃。
自動排出式
自動お掃除機能の動作方式の種類のこと。 排気用のファンとホースを組み合わせて、ブラシで擦った埃を屋外へ排出する。 理想的な構想であるが数年でホースが詰まって理想通りには動いていない個体が果てしなく多い。行き場を失った埃は室内機の中で延々と溢れ続ける。 ナショナル、シャープが発売当初に採用。 東芝はダストボックス式とのハイブリッド構造。 後にシャープ、東芝は廃止し、ダストボックス式へ変更。 2025年現在パナソニックだけが続けている。

自動排出式は屋外まで排気ホースを通して設置する。排水溝ネットはクリーニング時にホースの中に詰まっている埃を除去するために被せたもの。自動では排出しきれていないことが良く分かる画である。
基板
電装基板のこと。 エアコンには室内機、室外機の両方にあり、インバータ回路等、細かく制御している。
余談だが「きばん」と入力して変換すると、第一候補が『基盤』なのでSNSでも誤字が多い。 ここぞとばかりに業界外から基板警察(?)が出動するのは有名な話である。

これは室内機の基板。マイクロチップ、コンデンサなどがびっしりと並ぶ。
Fケーブル
正式名称はVVFケーブル。略してFケー。字数が足りない時はFで理解して下さいとなるm(__)m。 業界人の会話で「三芯」と言う場合もある。
Fとはフラットの意。 VVは難しい英語。その辺りは博学の電器屋さんへ。 エアコンでは室内機と室外機を繋ぐ電源&信号線として使用。 黒白で電源±、赤は信号線。
エアコン側の差込口の色表示に従って挿すのが普通であるが、それを無視して左から赤白黒の順で繋ぐ流派の設置屋さんが極少数存在する。 被覆の色が違うだけで中身の導体自体は同じ物なので、室内機、室外機の両方とも同じようにアベコベに繋ぐ分には問題は起こらない。
ただ、クリーニング時に無意識に室内機側を抜いて、組み立てでエアコン側の色表示と合わせて挿してしまうと、室外機側とずれてしまい、動作確認でエラーが点滅してゲゲゲ!となる。裏千家ならぬ、テレコ千家(?) マジ勘弁して欲しい。
自己弁護するつもりはないが、エアコン側の色表示と、Fケーブルの色を合わせるのが当たり前なので、抜く前にこれはテレコ千家だね、なんて一々確認する訳もなく。この為に1時間以上も無駄にしたのは遠い記憶であるが、一時も忘れたことはない。

指示通りに1番:黒。 2番:白。 3番:赤の順番で繋いでほしい。過去数千台クリーニングしてきた中で2、3台出会った経験あり。どうも関西方面にこの流派の一団がいるらしく、長年経過する中で関東にも引越し等で流れてきているのだろう。
熱交換器
室内機、室外機の両方にあり、冷媒を吸熱、又は放熱させ、周辺の空気と熱を交換する。 薄いアルミの板(フィン)の中を冷媒管が貫く。表面積を広げて熱交換効率を稼いでいる。 室内側で吸熱させれば冷房、その逆が暖房。アルミフィンが汚れた状態は熱交換効率が落ち、電気代がかさむ。エアコンが冷えないとき、風が出ていないのか?風が冷たくいないのか?症状によって対処が変わってくる。 ただ冷えないという情報だけでは情報不足でクリーニングか?修理か?何とも言えなが、冷房18度設定で全く冷気を感じない時は要修理。
業者間では略して「熱交」と言うことが多い。

アルミフィンの中を冷媒管が多数通っているのが分かる。
アルミフィン
熱交換器を構成する部品の名称。アルミを薄い板状(フィン状)に加工して並べ、熱交換が効率よく行われる様にする。
(熱交換器参照)
ドレンパン
英語表記でDrain pan ドレイン、ドゥレイン、ドレィン…正確な発音は分からないが直訳すると『排水皿』となる。 冷房、除湿で発生する結露水を受け、ドレンホースへと導く。家屋に例えれば雨どいの役目をする。今の殆どのエアコンは前側と奥側に熱交換器があるので、ドレンパンもそれぞれに配置されている。 前奥別部品になっているメーカー、一体型構成のメーカーがある。 また同じメーカーでも機種毎に違う場合もある。

前側のドレンパン

奥側のドレンパン

前奥一体型
ドレンパン分解クリーンニング
文字通りドレンパンを分解して(外して)クリーニングすること。ただし、ここで指しているのは、汚れがより多く貯まる前側のドレンパンまでで、奥側のドレンパンは壁に残しての作業となる。
(ケーシング参照)

前側のドレンパンを外したところ
ドレンホース
ドレンパンで受けた結露水を屋外へ排出するためのホース。

手前のホースがドレンホース。ドレンパンから流れてくる結露水は冷たいので、ホース表面に結露が発生しない様に断熱材を巻いてある。奥の2本は冷媒管。
送風ファン
風を送り出すためのファン(送風器)のこと。殆どの壁掛けエアコンで採用されているファンはクロススローファン(ラインフローファン)と呼ばれる物。シロッコファンと呼ぶ人がいるが違う物である。見た目は似ているが専門的には違う種類である。
なお、室外機に入っているのはプロペラファン。

これがクルクル回って風を送り出す。
送風ファン分解クリーニング(ファン抜き)
送風ファンを外すところまで分解してクリーニングをすること。ファン抜きと呼ぶことが多い。

送風ファンまで外したところ
ケーシング
エアコン室内機の母体となる部品のこと。ケーシングにアルミフィンやドレンパン、基板等の部品を組み付けて室内機が出来上がっている。自動車に当てはめるとシャーシがケーシングに該当し、オートバイや自転車ではフレームのことである。キャビネットと呼ぶこともある。
なお、当ホームページ内ではイメージが湧きやすい様にボディと表記している。

奥側のドレンパンと送風路、基板が納まるスペースが一体になっている

前側のドレンパンまで一体型のケーシング
背抜きクリーニング
ケーシングまで外してクリーニングすること。ケーシングは室内機の背中側まで回り込んでいる部品で、それを背中側からゴッソリ抜き去るので背抜きという。

ケーシングを外して熱交換器だけになったところ
背板
壁に取り付ける金属板のこと。エアコンはビスで壁に固定した背板に室内機本体を引っかけて設置する。背中側にある板だから背板。

機種によって背板の形、ネジ留めの位置が少しづつ違う。素人工事で背板ごとエアコンが落ちる事故も無きにしも非ず。
通常分解クリーニング
外装カバーまで外してクリーニングすること。お掃除機能付きエアコンであれば、お掃除ロボまで外してクリーニングすること。
大手から個人店まで、最も多く採用されているクリーニング方法。肌感であるが、全体の80%~85%くらいが通常分解クリーニングと思われる。簡易分解クリーニングと呼ぶこともある。
なお、外装カバーも、お掃除ロボも外さずにクリーニングを行っている業者も少なくないが、通常分解にも当たらないし、クリーニングという言葉自体使うべきでない。言うなればカビ拡散、汚れまき散らし、という言葉が適切である。どんなに安かろうとも、お金を払う価値は無いが、安いどころか、通常分解と同レベルの料金設定だったりすることが多い。腹立たしい限りである。

前側のドレンパンを外す手前の段階が通常分解に当たる。
簡易分解クリーニング
通常分解クリーニングと同義。
完全分解クリーニング
背抜きクリーニングのこと。某大手は送風ファン分解クリーニングのことを完全分解と言っているが、業界全体の認識から外れている。利用者方々に置かれては間違わない様にされたし。
高圧
言葉自体はもちろん高い圧力のことであるが、エアコンクリーニングで高圧と言ったら高圧洗浄のことを指している。
メガ(M)
デジタルメモリー(メガバイト)でお馴染みの数値を表す単位。エアコンクリーニングの場合、高圧洗浄機の噴射圧力のことを略してメガと言うことが多い。単位はMPa(メガパスカル)である。「ウチのは5メガだぜ~」と言ったら5MPaの洗浄機のこと。
日本では以前はkgf/㎠で表していたが、国際表記のMPaに統一された。1Mpa=10.2kgf/㎠
なお、ホースの長さ、柔らかさで損失が発生するので、同じ洗浄機でも使うホースによって出口の圧力が変わる。
また、洗浄機の能力は圧力だけでなく、供給水量と合わせて考えなければ道具として成立しない。どれくらいの圧力で、どれくらいの量の水を噴射しているのか?が大切。例えば金属加工などに使うウォータージェットは、鉄を切断できるほど圧力が高いが、噴射している水量はほんの僅かである。
ガン
高圧洗浄機のホースの先に繋げて噴射する道具のこと。
ホッパー
エアコン本体を高圧洗浄する際に被せる養生カバーのこと。

誰が考えたのか、よくできている。安価な物から高価な物まで色々ある。これは全体を覆うフルホッパータイプ。下側だけ吊るすハーフタイプもある。
マスカー
養生する際に使う材料のこと。薄いビニールの端にテープが付いている。元々はペンキ屋さんの為に発明された物だと思うが、今やエアコンクリーニング業界でもこれが無ければ始まらないというくらいの便利アイテム。もしも現場に着いて、これが無かったらアウト!

550㎜、1100㎜、1800㎜など、幅が色々ある。
クリーニング率
新品の綺麗さに対して、どれくらいまで回復するのか?を表す言葉。クリーニング率が高いほうが、より綺麗になるということ。分解深度、洗剤、高圧洗浄機、構造の理解度、洗い流しの技術によって左右される。
また、ユーザーがどれくらい汚れを溜め込んでからクリーニングを依頼するか?によっても結果が変わる。何故なら汚れを放置し続けたエアコンは劣化も進むからである。虫歯を初期段階で治療するか、放置し続けてから歯医者さんに行くかで結果が変わるのと同じ。
分解深度
どこまで分解するのか?を表す言葉。一言でエアコンクリーニングと言っても、分解深度によって仕上がりは全く違うものとなる。分解深度の深い順から『背抜き>送風ファン分解(ファン抜き)>ドレンパン分解>通常分解』となり、クリーニング率もその順に比例する。